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エマヌエル・ナバレッテ(メキシコ)VSジェオ・サンティシマ(フィリピン)
WBO世界S・バンタム級タイトルマッチ(2020年2月22日)
ナバレッテは、31戦30勝26KO1敗、25歳。170cm。
唯一の1敗は、4回戦時代に喫したもの。2018年にアイザック・ドグボエから奪ったタイトルは、現在4連続KO防衛中です。
サンティシマは、21戦19勝16KO2敗、23歳。WBO4位。168cm。
2敗していますが、いずれもデビュー当時のもの。現在、17戦勝中です。KO率76%の強打者です。
試合経過)
3ラウンドにナバレッテの左ボディ
身長差はわずか2cmですが、ナバレッテの方が一回り大きく見えますね。解説の西岡さんが言うように、ナバレッテはホントに柔らかい構えをしています。
ナバレッテは、序盤、長い左ジャブを突いて、距離をとっています。サンティシマも機敏な動きで前に出ますが、ナバレッテに先手を取られています。2ラウンド終盤から、ナバレッテが左をついて前に出てきました。
3ラウンドあたりから、ナバレッテの動きが激しくなり、長いワンツーでサンティシマを追い立てます。しかし、サンティシマも怖いタイミングで、左フックを返してきます。
3ラウンド中盤、ナバレッテの左フックがボディをとらえ、サンティシマが後退します。ここから、ナバレッテがガンガン前に出て手を出します。
サンティシマは右のカウンターを狙いますが、ナバレッテはお構いなしに前に出ます。
ナバレッテの動きにキレがない
4ラウンドは、サンティシマが流れを取り戻そうと、前に出て堅いパンチを打ち込みますが、ナバレッテは余裕を持って、受け流しています。ちょうど2分が経過したところで、ナバレッテがやや不用意に、サンティシマの右フックをもらい、ロープに飛ばされます。一瞬、効いた感じですが、うまくごまかして、乗り切ります。
しかし、5ラウンドからナバレッテが長いワンツーを放ちながら、サンティシマを追いかけます。サンティシマも応戦しましが、ここでまたナバレッテの左ボディブローがヒットし、サンティシマの腰が折れかかります。ここからは、サンティシマのカウンターもお構いなしに、まさに追いかけまわします。ナバレッテの手数がかなり増えました。さすがにゴング終了後は、ナバレッテの息が上がっていましたね。
6ラウンド、ナバレッテは小休止。スタミナ回復を図っている感じです。今日のナバレッテは、減量苦からか、動きにキレがないですね。そして、不用意な被弾も多いように思います。
後半もナバレッテはペースを譲らず
7ラウンド、何とか流れを変えようと、サンティシマが出てきましたが、ナバレッテは余裕を持って受け流し、応戦します。しかし、パンチはやや流れ気味ですね。8ラウンドはまたナバレッテの手数が増えます。頻繁にスイッチするナバレッテに、サンティシマの手数が減ってきました。
うまく休みながら、要所でコンビネーションブローを放ち、サンティシマにペースを譲りません。どうやら右を痛めたようですが、左ボディブローは効果的です。
連打を畳みかけレフリーストップ
10ラウンドは、サンティシマが前に出てパンチを放ちます。勝負に出たようですね。しかし、ナバレッテはスイッチしながら、サンティシマの攻勢を受け流し、ラウンド後半は連打を畳みかけ、一方的に打ちまくります。
最後の力を振り絞り、サンティシマが前に出ますが、ナバレッテはスイッチしながら、サンティシマの攻撃を受け流します。そして、中盤から反撃に転じます。
ナバレッテが連打を畳みかけ、コーナーに詰まって防戦一方になったところで、レフリーが試合をストップしました。
「わしボク」の節穴の「目」
ナバレッテのスタミナと手数
5ラウンドの連打で息があがっていましたが、後半はうまく休みながら、手数は減ることなく、最後また連打を畳みかけ、レフリーストップ。スタミナは抜群ですね。
決してパンチにスピードがあるとは思えないのですが、先手先手でパンチを放ち、手数で圧倒しましたね。右手を痛めたようですが、頻繁にスイッチしながら、サンティシマの反撃をうまくはぐらかして、最後までペースを譲りませんでした。
意外と老獪なテクニック
サンティシマも決して悪い選手ではないのですが、ナバレッテの引き出しの多さに力を出し切れず、最後はパワーで押しきられた感じです。
サンティシマが攻撃に転ずると、うまくこれを受け流し、打ち疲れたところで、しっかり打ち返していました。不用意にパンチをもらうシーンもありましたが、サンティシマの追い打ちを、うまくごまかす老獪なテクニックはさすがです。
この日の出来は決して良くなかったと思いますが、底力はかなりありますよ。S・バンタム級では最強でしょう。しかし、今後、階級を上げるかもしれませんね。