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「わしボク」に代わりまして。。。
フロイド・メイウェザー・ジュニアVS那須川天心がボクシングルールで実現しました。私の父「わしボク」はこの試合を「邪道」として記事にもしない方針だそうですが「わしボク」の息子である私「むすこボク」は、エキシビジョンマッチとはいえ、ボクシングルールである以上、意義深いと思います。したがって「わしボク」に変わって初めて今回、この記事をまとめたいと思います。
試合前の予想として…メイウェザー評
「むすこボク」からすると、メイウェザーという選手は「競技としてのプロボクシング」を極めたと思っています。ボクシングという競技は、キックボクシングなどの他の競技に比べて、より防御力が重視されます。メイウェザーのボクシングは、その点を誰よりも理解しています。
メイは、ほぼパンチをもらいません。人間離れしたスピードですべて避けるか、L字ブロックと呼ばれる顎とボディーを守る独自のガードでブロックします。左肩を壁にして、左肩で相手のリードパンチを防ぐというありえないブロック法です。右手のグローブは顎にぴったりくっつけて、顎への攻撃を防ぎます。驚異の身のこなしとL字ブロックで全ての相手の攻撃を封じます。
致命的な危機を迎えたのは、過去50試合でおそらく下記のワンシーンだけではないでしょうか。シェーン・モズリー戦2R、残り1分20秒ごろです。ブロックをかいくぐったモズリーの高速パンチでグラつき、観客も沸きましたが、その後モズリーはメイのフェイント攻撃により疲弊。結局、このシーンだけが見せ場となりました。
そしてメイウェザーは、現代ボクシングにおけるもう一つ重要なポイントである「有効なクリーンヒット」を的確に当てることに長けています。相手をダウンさせられるパンチを打ち込むのではなく、確実にクリーンヒットを当てることへの意識も高く持っています。
現代のプロボクシングは、いかに綺麗に相手の相手の「顔面」もしくは「ボディ」にパンチをヒットさせるか、であり、どれだけ華麗にダウンさせるかとか、圧倒的にぶちのめすとか、そういうものではないのです。
それはメイウェザーが悪いとかではなく、そういうルールになっているのです。そういうルールを理解し、そのルールを最大限に活用した頭脳的なボクサーがメイウェザーなわけです。
メイウェザー:現代ボクシングルールを知り尽くした男
要するにメイウェザーは、相手をノックアウトする格闘技としてのボクシングではなく「こうすれば勝てる」という受験生の「傾向と対策」を極めたスポーツとしてのボクサーといえます。
そのため、いつもポイントの票読みも的確でした。自分がいま何ポイント取っているか、残りラウンドを何ポイントで凌げるか。非常に正確に把握していました。
メイウェザー:勝つための最善を尽くす男
私たちは、一般的に、ボクシングをそういったものだとは捉えず、格闘技として考えています。ただメイウェザーは「負けたく無い」「勝ちたい」「稼ぎたい」「有名になりたい」という尋常では無い野心から、既存のプロボクシングという観念を一度解体し、最適化して「いかにして勝つか」と捉え直して再構築しました。
いまのメイウェザーに勝つには、プロボクシングのルールを変えるしかないでしょう。
そしてメイウェザーは「興行としてのプロボクシング」も深く理解していました。どうすれば注目されるのか。どうすればより多くのファイトマネーを得ることができるのか。ヒール(悪役)だろうが、観客を敵に回そうが関係ないわけです。興行として話題になれば、それがベストだと考えたわけです。
つまりメイウェザーは、既存の「格闘技」としてのボクシングを解体し、スポーツとして、そしてマネーゲームとして現代的に再度解釈した、非常に真面目でクレバーな選手とも言えます。
試合予想…那須川天心は勝てるのか?
那須川さんが素晴らしい選手であることは言うまでもないと思います。キック系の選手は足技が自慢の人も多いですが、那須川さんは手技もうまく、当て勘も良いです。ボクシングでも大丈夫なのでは? と思わせます。実際、ボクシングも誘われていたそうです。
ただ、この試合は、体重差も大きく、ボクシングテクニックとしては超人的であるメイウェザーに、どう転んでも那須川天心は勝てません。那須川さんがダメということではなく、那須川さんも、素晴らしい選手だと思いますが、まず勝てないと思います。
ボクシングにジャイアントキリングはない
ボクシングという競技の場合、蹴りや絞め技が無くディフェシブである分、番狂わせが少ないです。パワーよりもテクニックが圧倒的に重要な競技です。キックボクシングや総合格闘技などは、意外な大技が決まったり、ということがありますが、ボクシングはそういうスペシャルパンチ的なものはあまりありません。
その意味では詰将棋のようです。ボクシングはロジカルに、勝つべく人が勝つ競技です。ボクシングという限定した状況である以上、相手がメイウェザーでなく別のボクサーでも、世界レベルであれば那須川さんは勝てないと思います。
那須川天心の考えは?
とはいえ、世界で最も稼ぐ格闘技選手であるメイウェザーと戦うチャンスなど、那須川さんには今後、もう無いと考えたのでしょう。那須川さんとしては、世界最強のボクサーと戦いたいという思いがあったのかと思います。
たぶん、メイウェザーは1発も喰らわないのではないでしょうか。
国歌斉唱中の様子
那須川天心さんは、減量をしていないそうです。もともとウエート差があるため、それがこの試合を競技としてばかばかしくしており、娯楽めいているわけですが、力負けしないためには重量を近づける必要があります。そもそも、体重差があれば命に関わる重大なダメージを受ける可能性が上がります。そのためにも重量を付ける必要があります。一方、この重さがスピード、コンディションにどう影響するか、ですね。
それにしても、メイウェザーは余裕の表情ですね。「金さえ入ればどうでもいいんだよ」と言わんばかりの態度です。真面目な顔でこの試合を楽しみにしている日本人を嘲笑っている風にも見えます。半分はポーズでしょうし、もう半分は本当にそう思っているのでしょう。
1ラウンドで決まる
並ぶと体格差がかなりあります。体重以上に体つきに差がありますね。
あっ!!
ボコボコに殴られて、那須川さんがあっさり負けてしまいました。。。
那須川さんの誤算はあったか?
那須川さんのパンチは非常に上手でしたが、、
ボクサーっぽい打ち方をされており相当、ボクシングの練習を積まれた感じがします。上にも書きましたが、ボクシングルールでもOKだと考えたのは、やはり元々パンチも得意でしたし、ボクシングに自信があったのかなと思います。
実際、那須川さんは通常の試合でもパンチ力があるイメージですが、メイウェザーには全く効いていないですね。鋼鉄の肉体に全くパンチが食い込んでいない感じがします。
那須川さんが数発のパンチを打ち込むシーンがありましたが、ビクともしていなかったです。
メイウェザーは何を思う?
一方、メイウェザーのパンチはすごいですね。ディフェンシブなだけで、もともとパンチ力がある選手ですが、ここまで効くとは思いませんでした。
これは体重差のせいもありますし、思いっきり体重も乗せていましたし、パンチも的確でした。
ここまで差があるとは思いませんでしたが、、、大人と子供のようでしたね。
ただ、那須川さんもスピードがあったので、メイウェザーもパンチをいくつかもらいそうになっていました。
当初のメイウェザーの考えは、もう少し遊ぶつもりだったようにも思います。
それが意外にスピードがあり、軽傷でも多少パンチをもらって万が一、顔に傷でもついたら、気楽に年越しできないと思って急いで決めたような気もします。一発ももらわず、本当にお遊びのつもりで来日し、そしてそのまま気楽に年越しするつもりなのでしょう。
那須川さんがもっとボクシングができないと思っていたのではないでしょうか。それが意外に那須川さんのボクシングスタイルが確立されていて、若干、焦ったようにも見えます。
結論
ここまで差があるとは思わなかったです。
那須川さんはくやしいでしょうが、この経験を生かし、自らのフィールドでさらに大成してほしいです。
メイウェザーは余裕こいていましたが、体つきは完璧に仕上げていましたね。口だけじゃないところはさすがですが、、チキンというか、この用心深さ、臆病さが実はメイウェザーの最大の武器じゃないかなと思います。
まだまだボクシングできるんじゃないでしょうか。