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デビッド・べナビデス(アメリカ)VSロナルド・ガブリル(ルーマニア)
WBC世界S・ミドル級タイトルマッチ(2018年2月17日)
(出典:WOWOW)
べナビデスは19戦全勝17KO、21歳。
ガブリルは20戦18勝14KO2敗、29歳。WBC5位。
両者は昨年9月に、王座決定戦で対戦し、べナビデスが終盤に失速し、最終ラウンドにはダウンを奪われ、2-1で辛うじてタイトルを獲得しています。
そこでダイレクトリマッチで決着をつけることになった次第です。
初回からべナビデスがジャブでコントロール
しかし、べナビデスはパワーアップしていました。
初回から、べナビデスの長くて速い左ジャブがビシビシとガブリルの顔面をとらえ、ガブリルはなかなか自分の射程距離に近づけません。
3ラウンドにはほぼガブリルのパンチを見切ったように、思い切った右ストレートを打ってきます。手数も圧倒的に多く、ガブリルは早くも守勢一方。
堅いガードも、べナビデスのシャープなパンチで破られ、なすすべがありません。
前回の試合で、ジョー小泉さんに「当て勘が悪い」と酷評されたべナビデスですが、今日のべナビデスは別人のようにパンチが的確で、しかも多彩。当て勘は抜群です。
一方のガブリルのパンチは距離の悪さもありますが、ほとんどガードの上。当て勘は最悪です。
あわやダウンか
4ラウンドにべナビデスが絶妙の右アッパーをヒットし、ガブリルが大きく体勢を崩します。ロープがなければダウンしていたでしょう。
(接近しても長い腕を折りたたんで絶妙のアッパーをヒット)
(この右アッパーでガブリルは大きく体勢を崩し、ロープに飛ばされます)
離れたらべナビデスの長くて速いワンツーが飛んできますが、接近してもこのアッパーが効果的で、ガブリルの両手はガードに専念させられます。
中盤は一方的展開
ガードの堅いガブリルに対して、べナビデスは多彩なパンチで翻弄します。
8ラウンドは執拗なボディ攻撃で、ガブリルにかなりのダメージを与え、もうKOも時間の問題かと思われました。
9ラウンドもべナビデスの滅多打ちに、ガブリルは防戦一方でかなり苦しい状況に追い込まれます。それでも倒れないガブリルのタフさも大したものです。
(べナビデスは左の使い方が上手いですね。ボディブローは確実にガブリルの戦力をそぎ落としていきます)
終盤べナビデスが拳を痛める
べナビデスが、どうやら9ラウンドに右の拳を痛めたようです。
10ラウンドからべナビデスがペースダウンします。時折右も放ちますが、解説の西岡利晃さんによれば「思い切り打ってないです」。
それでも、べナビデスがすごいのは、うまく休みながら、左手一本でガブリルをコントロールし、べナビデスの反撃を最後まで完封していたことです。
公式ジャッジの採点は、一人だけ119-109、他の二人は120-108の3-0で、べナビデスが完勝しました。
私の採点はべナビデスの完封勝ち、120-108でした。
今のS・ミドル級ではべナビデスが一番強いでしょう。そして、この選手はさらに強くなる可能性がありますよ。まだ21歳ですからね。
WBO王者のヒルベルト・ラミレスとの対決をぜひ見たいと思います。