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ジェルゥイン・アンカハス(フィリピン)VSジェイミー・コンラン(イギリス)
IBF世界S・フライ級タイトルマッチ(2017年11月18日)
(出典:WOWOW)
アンカハスは29戦27勝18KO1敗1分け、25歳のサウスポー。
2度目の防衛戦では、帝里木下を全く相手にせず、7RTKO勝ちしています。
一時は井上尚弥の標的と目されていましたが、どうやらアンカハスが逃げたようですね。
コンランはオリンピック銀メダリストのマイケル・コンランの兄です。
19戦全勝11KO、オーソドックススタイルの31歳。IBF4位です。
コンランはガラスのボディ
解説の浜田剛史さんは、「アンカハスはパッキャオにそっくり」としきりに言っていましたが、私には体格もフットワークも全く似ていないように見えました。
パッキャオほどフットワークを使わないし、左ストレートの踏み込みも、顔面へのパンチはやや体が流れ気味で、スピードもそれほど感じられません。
ただ、ボディへの左ストレートはコンランを苦しめましたね。
1ラウンドにいきなり、コンランが膝をついたときは、何があったのかと思いましたが、どうやらアンカハスの左ボディがヒットしていたようです。
(アンカハスの左ボディで、少し間を置いてコンランが膝をつく)
それにしても、世界に挑戦しようとするボクサーとしては、ボディが脆弱すぎますね。
ガラスの顎とは言いますが、ガラスのボディはちょっとおかしいですか。とにかくボディに腹筋がないようです。
アンカハスはじっくりボディを攻める
2ラウンドにコンランが左目をカットし、さらに苦境に追い込まれます。
パワーで上回るアンカハスに、コンランは完全に押され気味。
そして3ラウンドに、またアンカハスの左ストレートがコンランのボディをとらえます。
コンランはこのパンチで一瞬、後ろ向きに。ボディが効いているのは分かりますが、このイギリス人はどうも行動が変です。
(この左ストレートにコンランは無防備。今度は後ろを向きます)
アンカハスはコンランをロープに詰め、ボディブローを連打し、2度目のダウンを奪います。
(ロープに詰めてボディを連打)
もう勝負の行方は明確です。後はアンカハスが何ラウンドに沈めるかだけが試合の焦点となってきました。
アンカハスはしつこくボディを狙いますが、コンランは必死にボディを守ります。
最後はテンプル
4ラウンドにも、全く同じ左ストレートをもらい、コンランが3度目のダウンを喫します。ラウンド終了間際だったため、かろうじて立ってきた(かなりロングカウントだったような気がしますが)コンランはゴングに救われます。
(コンランのボディが弱いとはいえ、この左ストレートに対するディフェンスがあまりにもお粗末です)
5ラウンドに珍しくコンランが前に出て、応戦します。おそらく最後の勝負に出たのでしょうが、アンカハスがパンチを放つと、あっという間に守勢に回ります。パワーが違います。
ジョー小泉さんが「コンランは混乱していますね」。
この回も左ボディストレートがヒットしてダウンしましたが、これはレフリーがローブローとして、コンランに休息を与え、アンカハスは減点1を取られます。
ビデオ再生を見ると、ちょうどベルトラインでした。
しかし、6ラウンドにアンカハスの右フックが、テンプルを引っ掛けるようにヒットすると、コンランが4度目のダウン。
(引っ掛けるようなパンチでしたが、コンランがもろくもダウン。)
よれよれになりながら立ってきたコンランですが、さすがのイギリス人レフリーもかばいきれず、ストップしました。ダメージの蓄積を考える仕方がないでしょう。
浜田さんはアンカハスに太鼓判を押していましたが、私は、アンカハスの強さより、コンランの弱さの方が印象に残りました。