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セルゲイ・リピネッツ(ロシア)VS近藤明広(一力)
IBF世界S・ライト級王座決定戦(2017年11月4日)
(出典:WOWOW)
セルゲイ・リピネッツは、12戦全勝10KO、28歳。IBF1位。
小柄ですが、パワフルなハードパンチャーという感じですね。
近藤は、36戦29勝16KO6敗1分け、32歳。IBF3位。
テレンス・クロフォードがタイトルを返上したため、チャンスが巡ってきました。
まことに申し訳ありませんが、私の予想では、早い回で近藤が倒されるだろうと思っていました。
このクラスの日本と世界のレベルの違いは、相当なものですからね。
前に出るのは近藤
リピネッツの試合を一度も見たことがありませんので、体格と戦績から、てっきり前に出てガンガン攻めて来るものだと思っていまいた。
しかし、序盤は、近藤が左ジャブを突いて前に出て、リピネッツは下がりながら、慎重に近藤の出方を探っています。かなり慎重ですね。
近藤は、なかなかいい立ち上がりを見せます。
リピネッツは、意外と小柄でパワフルな感じはしません。
しかし、2ラウンドに放った右アッパーのカウンター一発で、近藤の鼻が赤くなり、出血。このアッパーはかなり威力がありそうです。
(リピネッツのアッパーがカウンターで近藤の鼻にヒット)
鼻血の影響か近藤の手数が減る
3ラウンドに入っても、近藤は前に出ますが、リピネッツが下がりながらも先にパンチをヒットします。
鼻血の影響からか、明らかに近藤の手数が減り、後手後手に回ります。
せっかくいい立ち上がりを見せたのに残念です。
リピネッツも連打はありませんが、単発のパンチをポンポンと打ってきます。
しかし、6ラウンドにお互いの頭が当たり、リピネッツの額が割れます。
(リピネッツが前に出たところでお互いの頭が当たる)
リピネッツの動きが悪くなる
7ラウンドは頭の傷の影響か、今度はリピネッツの動きが少しぎこちなくなります。
そして、近藤の右ストレートがヒットし、リピネッツは近藤のパンチをかなり警戒するようになります。見た目以上に近藤のパンチにも威力がありそうですね。
しかし、如何せん手数が少ない。
せっかく前に出てプッシャーをかけながら、先に手を出すのはリピネッツです。
近藤のパンチがヒットしても、必ずリピネッツは打ち返してきます。
(先に近藤の左ジャブがヒットしていますが、リピネッツの右フックの方が見た目が派手)
終盤は一進一退
かなり顔が腫れてきて疲れも見える近藤に、先に攻勢をかけたのはリピネッツです。
中盤は下がる場面が多かったのですが、11ラウンドは少し前に出て、手数が増えてきました。
しかし、最終ラウンドは近藤も根性を見せます。
ようやく手数が増え、前に出てパンチを放ちますが、逃切りを図るリピネッツのディフェンスに阻まれ、なかなかクリーンヒットを奪えません。
浜田剛史さんが「この攻撃がもっと早い回からほしかったですね。」
近藤は思ったより大健闘しましたが、やはり力の差は歴然としていました。
判定は3-0(118-110、117-111、117-111)と大差がつき、リピネッツがタイトルを獲得しました。
しかし、リピネッツもクロフォードに比べると、かなり見劣りしますね。
クロフォードとやったら、あっさり倒されているでしょう。
パワフルなハードパンチャーというより、変則的なテクニシャンという感じがしました。岡田博喜なら勝てるかもしれません。