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ロバート・イースター(アメリカ)VSリチャード・コメイ(ガーナ)
IBF世界ライト級王座決定戦(2016年9月9日)
(出典:WOWOW)
トーマス・ハーンズの再来と言われ、スター街道を突っ走ってきたイースターがようやく世界戦を迎えました。
17戦全勝14KO、25歳。180㎝の長身でしかもリーチが193㎝もある恵まれた体形をしています。IBFライト級4位。
しかしこの日の相手は強敵です。24戦全勝22KO、29歳。ランキングも一つ上の3位です。
KO率92%の相手に、スター候補らしく、圧倒的な強さを示せるのでしょうか。
やはり距離が長いイースター
左ジャブが速くて長いですね。これで距離をとられると、相当踏み込まないとパンチが届かないでしょう。
しかし、コメイもパワーがあり、特に、思い切って振ってくる右は怖いですよ。
イースターも自分の距離で戦っている分には、なかなかつけ入るすきを見せないのですが、接近して打ち合うと、左のガードの甘さが目につきます。
3ラウンドぐらいからは、イースターは危険犯さず、左ジャブで距離を取って、ペースを握ります。
コメイは前に出てプレッシャーを強めるものの、どうしても距離を縮めることが出来ず、パンチが届きません。
しかも、接近すると強烈な右アッパーがカウンターで飛んできます。
中盤は完全にイースターがポイントを奪ったと思います。
(コメイがガードを固めて接近できても、イースターはその隙間を右アッパーカウンターで迎え撃つ)
狙っていたコメイの右カウンター
ところが8ラウンド。イースターが不用意に左を放ったところへ、「待ってました!」ばかりにコメイが右ストレートをカウンターで決め、ついにダウンを奪いました。
右手がマットにタッチしたかどうかどうか微妙なダウンでしたが、イースターが大きく体勢を崩したのは間違いありません。
(この右ストレートカウンターは強烈でしした。どうやらグローブは辛うじてマットについていないように見えました)
イースターの左のガードの甘さを見抜き、狙いすました右ストレートだったよ思います。コメイの戦績も伊達じゃないですね。
しかし、イースターがすごいのは、全くダメージを感じさせず、この後逆襲したことです。
9ラウンドもこのダウンを挽回しようと、イースターが打ち合いを挑んできました。
もちろん、コメイとしては望むところです。しかも、右のタイミングが合ってきていて、9ラウンドの2発はさすがにイースターもダメージがあったようです。
(コメイのこの右は効きました)
最後にもう一波乱
少し疲れの見えたイースターは、11ラウンドは距離をとって、コメイのプレッシャーを捌き、時折隙を見て強い右を放つなど、どうやら試合の勝利を確信したかに見えました。
しかし、最終ラウンドにイースターは、また危険な打ち合いを挑みます。
そして、会心の右フックをカウンターでヒットし、今度はコメイがあわやダウンかと思われるほど大きく体勢を崩しました。
(この右フックカウンターはこの一番の強いパンチでした)
このダパンチのダメージは深刻です。
まだ、たしか2分以上時間が残っていたと思います。
コメイはイースターの容赦ない追撃にさらされ、大ピンチ!
決まるかと思いましたが、イースターもスタミナが限界。パンチが流れて、とどめのクリーンヒットがなかなか奪えません。
コメイも反撃の力は残っていないのに、予想以上のしぶとさを見せ、最終回のゴングを聞きました。
私は4ポイントぐらいは確実に差をつけて明確にイースターが勝ったと思いましたが、意外にも判定は2-1の僅差。(115-112、113-114、114-113)
前回も指摘しましたが、イースターはやはりガードが甘いですね。
アウトボクシングもインファイトもできる器用さはありますが、防御勘が悪のは、これからスーパースターになるには大きな課題になるでしょう。
負けたコメイもなかなかいいファイターですよ。もっとかみ合う相手なら、面白いボクシングを見せてくれそうです。
テリー・フラガナンやアンソニー・クロラよりずっ魅力的です。
ホルヘ・リナレスもこのコメイは難敵だと思います。しかし、イースターはさらにやりにくい相手でしょうね。