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179.WOWOWエキサイトマッチ観戦記・50(8月31日放送)
WBO世界Sミドル級タイトルマッチ(2015年7月18日)
アルツール・アブラハム(ドイツ)VSロバート・スティグリッツ(ドイツ)
アブラハムはもう引退したのかと思ってましたが、いつの間にかまた世界チャンピオンになっていたのですね。しばらくWOWOWに登場しないと「やめたんかな~」て思ってしまいます。ボクシングマガジンを見たらWBOのランキング表にいました。スティグリッツも1位にいました。
■同じ相手と4回も対戦するか~
二人の最初の対戦は2012年8月。このときはアブラハムの判定勝ち。
2回目は2013年3月、アブラハムが負傷してTKO負け。そして最後がその1年後の2014年3月。このときはまたアブラハムが判定勝ちですが、これがスプリットデシジョンでしたから、普通に考えたら今回も退屈な12ラウンドを予想してしまいますよね。
■アブラハムは完全な攻防分離型
「こんなスタイルは世界チャンピオンにはいないですよ」と浜田さん。
相手が打ってきたらとりあえず堅いガードで守り一辺倒。相手が攻撃しなければ自分がパワーパンチを豪快に振り回す。なんとも単純でわかりやすボクシングスタイルです。
普通のスケールのボクサーなら、まず世界に通用しないでしょうが、アブラハムは別格です。
鉄壁のガードで顔面を守り、たとえ顎を骨折しても倒れない頑強な体をしていますし、その攻撃力も尋常ではないパワーパンチなので、中途半端に下がったり、不用意に中間距離で対峙すると撃沈されます。
アブラハムに勝つためには、アブラハムの距離に決してならずに、自分の距離を徹底して守り、ポイントアウトするしかありません。
■中途半端なスティグリッツ
アブラハムの闘い方は常に一貫していますから、要はスティグリッツがどう戦うかで勝敗の行方が決まります。
本来、アウトボクサーのスティグリッツですが、今まで3戦である程度攻撃しないとポイントを取れないと思ったようです。
1ラウンドから前に出て攻勢に出ます。しかし本来がアウトボクサーなので、その攻めが中途半端で、「むしろもっと距離を取った方がいいですね」と解説の飯田覚士さん。
なかなかペースを握れず、攻めあぐむスティグリッツが4ラウンドに滑ったようにダウンしました。
■スリップじゃないの?
私はてっきりスリップダウンだと思いましたが、レフリーはカウントを取り始めました。「えっ?」と思っていると、浜田剛史さんが「ジャブのカウンターです!」。
なんじゃそれ。
後でスローを見ると、スティグリッツの左ジャブに合わせてアブラハムがジャブをカウンターで放っていました。さすが浜田さん!
これが結構見た目よりダメージがあったようで、必死で挽回しようとするスティグリッツですがどうも攻撃に迫力がありません。
5ラウンドは完全にアブラハムのペースになりました。
■こうなったらもうアブラハムは止まらない
相手が出てこないとわかったらもう手がつけられません。アブラハムはガンガン攻めてきます。
必死にかわしていたスティグリッツもついに6回に捕まります。
左右連打のあと、渾身の右フックで決まり。「こんなのもらったら立てない」でしょうね。それでもスティグリッツは立ってきましたが、ダメージが深刻と判断したコーナーから白旗が上がりました。
■もういいでしょう
もうこれで決着ということでいいでしょう。5回目は要りません。もうお腹一杯です。
アブラハムは35歳、キャリア12年。まだまだやれるとは思いますが、この人のボクシングは面白くないですね~。
もう引退したらどうですか。