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(9月28日追記:井岡VSソーサ戦結果の検証記事は下記です)
■井岡の対戦相手はソーサ
WBA世界フライ級タイトルマッチ(2015年9月27日)
井岡一翔VSロベルト・ドミンゴ・ソーサ(アルゼンチン)
ダイレクトリマッチを見送った、前王者のファン・カルロス・レベコ側が送り込んでくる刺客です。
29戦26勝(14KO)2敗1分とまずまずの戦績ですが、最近5試合は2勝2敗1分と意外にぱっとしません。世界ランキングも12位です。
これらの材料からは「井岡が楽勝」、と早合点しそうですが、さてどうでしょう。
■ソーサの最近5試合を分析
どうやら、もともとはSフライ級で戦っていたようです。直近のランキング表(ボクシングマガジン8月号)を見るとWBOはSフライ級9位、WBCにもSフライ級35位にいました。
帝里木下がIBF世界Sフライ級王座決定戦で判定負けした(2014年3月19日)ゾラニ・テテ(南アフリカ)と対戦して判定勝ちしています。
2012年9月1日、ちょうど3年前ですね。
このあとすぐにIBFの世界Sフライ級の王座決定戦に挑んでいますので、このテテ戦はその決定戦の切符を手に入れるための12回戦だったと思います。
王座決定戦で戦ったのはファンカルロス・サンチェス・ジュニア。この試合で初黒星を喫しています。ちなみに、サンチェス・ジュニアは2013年11月、ゾラニ・テテにKO負けしています。現在WBO世界Sバンタム級2位です。
その後ディエゴ・ルイスという無名の選手に判定負け。(2014年1月14日)
そして2015年3月6日にカルロス・ルーベン・ダリオ・ルイスという選手に判定勝ちしていますが、これが怪しい(詳細は後ほど)。
直近の試合は7月4日、ハビエル・ニコラス・チャコンと引き分けています。
やっぱりぱっとしませんね~。
■ゾラニ・テテ戦
YouTubeで12ラウンドをしっかり見てみました。(採点しながら)
前半はテテのジャブ、右ストレートが試合を支配していました。
どうもソーサはサウスポーが苦手のようです。(ゾラニ・テテはサウスポー、ソーサはオーソドックス)
これは地元判定で実際にはテテが勝っていたのでは、と疑問が頭をよぎりました。
ソーサはテテに比べるとかなり背が低いがリーチは長そうで、見た感じはレベコに良く似ています。いかにもアルゼンチンの軽量級のボクサーと言う感じです。
スロースターターなのか6回からようやく前に出てパンチを振りまわしてきます。
転機になったのは、ソーサが8回に放ったローブロー。このパンチでテテは膝をつき、しばし休憩をとるほどのダメージでした。
私にはそれほど強烈なローブローには見えなかったのですが、とりあえずこのローブローから急にテテの動きが消極的になり精彩を欠いていました。
そうなるともうソーサのペースです。しつこく前へ出て、パンチを繰り出し、前半の失点を挽回しました。スタミナは抜群ですね。私の採点では4ポイント、ソーサの勝ちでした。
■怪しい判定勝ち
もう1試合見ました。それがカルロス・ルーベン・ダリオ・ルイスとの怪しい10回戦です。(2015年3月6日)
ファイタータイプのソーサがルイスのプレッシャーに負けてアウトボクシングをしていました。実は最初、選手を勘違いしていたほどです。
2ラウンドのダウンを奪われたときにもソーサがダウンしたとは思いませんでした。
しかしよく見ると髪型や顔つきが違います。ルイスもいかにもアルゼンチンの選手といった感じだったので、おそらく同国人対決ということなんでしょう。
5ラウンドあたりからようやくスロースターターのソーサが出てきた、と思いましたが、すぐに失速。時折「ナイスボディ!」を打ちますが、全体のペースはルイスが握っていました。
テレビ解説者らしい人がポイントをつけていましたが、これが的確で、ほぼ私の採点と同じ(お前は何者や!)、ルイスの判定勝ちと思いました。
これはきっとソーサの戦績に載っていた、ディエゴ・ルイスに判定負け(2014年11月14日)の事やな。記録が間違っていたのだろう。と。
が、違いました。ソーサの手が挙がったのです。
やっぱり記録は正しかったのですね。疑惑の判定勝ちです。
■よくわかりません
ゾラニ・テテとの後半の戦いぶりを見ると、かなりタフでしつこそうですし、スタミナも12ラウンドまで衰えることがありませんでした。
しかし、カルロス・ルーベン・ダリオ・ルイス戦では別人のように精彩がなく、柔らかい身のこなしと、ボディブローぐらいしか見るべきものはないし、いずれにしてもはっきり言えることは、パンチ力はない、ということでしょうか。
Sフライ級で戦ってきた選手とのパワーの差が気になりますが、おそらく井岡が勝つでしょう。
最近手数のめっきり少ない井岡ですが、ここは連打でKOしてほしいですね。