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◆ワイルダーは本物か?
WBC世界ヘビー級タイトルマッチ(2015年2月9日放送)
新王者ワイルダー、米ヘビー級に新時代到来の期待 :日本経済新聞
ふたつの意味で、ヘビー級の注目の一戦です。
ひとつは、ワイルダーは名のある対戦相手とはまだ一度も対戦していませんから、32戦32勝32KOのワイルダーの実力が本物かどうかを試す重要な一戦であり、もうひとつは、アメリカのヘビー級タイトルマッチ20連敗を阻止するかどうかという意味でも注目されているからです。
チャンピオンのスティバーン(スタイバーン)はこれが初防戦ですが、KO率80%の危険な相手です。
浜田さん得意の「お手並み拝見」ですね。
◆まさかの展開
ワイルダーは長い左ジャブを多用し、スティバーンを寄せ付けない作戦に出ました。完全なアウトボクシングで、これまでのワイルダーとは全く違うスタイルです。
でも、2回には、いつものワイルダーの豪快なパンチで、早くもチャンピオンはピンチに陥りました。
ワイルダーは今まで最長で4ラウンドした経験がありません。
しかし挑戦者は長いリーチを生かし、クレバーなボクシングを展開。浜田さんも「ワイルダーは非常に落ち着いたボクシングをしていまよ」「体も柔らかいし、よける感もいいですね」と、今までのスタイルと違うボクシングに驚きを隠せません。
◆ワイルダーの完勝
7回にも32KO男の33回目のKOチャンスがやってきました。チャンスになるといつもの豪快な攻撃が出ますが、しかし、ここでも無理をしません。相手のダメージ度合いを考え、自分のスタミナの温存を図ります。
ジョー小泉さんが、「ワイルダーの細い脚は、打たれたときに心配ですね」と細い足を盛んに気にしていましたが、ワイルダーは予想以上に目がよくて体が柔らかいので、私が見る限り、クリーンヒットをもらうことも少ないでしょうし、仮にもらってもダメージを殺せるように思えました。
結局、その後は山場もなく、最終回にはブーイングも聞かれましたが、勝ちに徹したワイルダーの大差判定に終わり、残念ながら全KOの記録は途絶えました。
放送によると、新王者は手を骨折したということでしたから、終盤の流すようなアウトボクシングはそのせいかもしれません。
◆さあ、次はクリチコだ
ワイルダーは第一関門を突破しました。クリチコに勝てるかどうかはわかりませんが、その強さは本物と言っていいでしょう。
単にパンチ力だけの比較なら、クリチコに軍配が上がるでしょうが、ボクシングのスキルだけならワイルダーですし、ボクシングの面白さは圧倒的にワイルダーです。
なかなかの役者ですね。状況に応じていろんなスタイルのボクシングができますから、人気も出るでしょうね。クリチコみたいなダーティで単調なボクシングは、たとえKO決着でも面白味がありません。
ジョー小泉さんが危惧していた細い足をもう少したくましくして、全体的なパワーアップ(せめてあと5キロ増量)に成功すれば、クリチコをぼっこぼっこにやっつけてくれるでしょう。
クリチコ!待っとけよ~