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(出典:WOWOW)
WBO世界S・バンタム級挑戦者決定戦(2022年2月5日)
ルイス・ネリ(メキシコ)VSカルロス・カストロ(メキシコ)
両選手のプロフィール
ルイス・ネリ(メキシコ)WBC世界S・バンタム級5位
32戦31勝24KO1敗、27歳 左サウスポースタイル
身長165cm リーチ 169cm
日本のボクシングファンにはおなじみの選手ですね。山中慎介さんを引退に追いやった選手ですが、その2勝は、いずれも禁止薬物疑惑と体重オーバーといういわくつきの勝利です。その結果、日本では「悪童」という呼ばれ方をされるようになりました。(本来のニックネームは「パンテラ(豹)」です。)とはいえ、元2階級制覇王者ですから、実力があることは間違いありません。しかし、2021年5月にブランドン・フィゲロアと王座統一戦を行い、まさかの7RKO負けで初黒星を喫するとともに、王座から陥落しました。この試合が、約8か月ぶりの再起戦となります。
カルロス・カストロ(メキシコ)WBO世界S・バンタム級2位
27戦全勝12KO、27歳 右オーソドックススタイル
身長 170cm リーチ 178cm
2019年にWBC米大陸S・バンタム級王座決定戦でゼネシス・カシミ・セルバニアと対戦し、判定でタイトルを獲得しています。タイトルを2度防衛し、全勝街道まっしぐらですが、ネリは過去最大の強敵でしょうね。
試合経過)
初回にネリがダウンを奪うが
開始1分弱、ネリの左ストレートがカストロの顎をきれいにとらえ、ダウンを奪います。カウント8で立ち上がりましたが、結構ダメージはあるでしょうね。これは早いかもしれません。その後ネリが一気の攻勢をかけますが、カストロは落ち着いてこれを捌きました。
しかし、その後、ネリはカストロの長い左ジャブが邪魔で、攻めあぐねます。カストロもかなりネリの左を警戒し、積極的に攻めていきません。
中盤からカストロが前に出る
4ラウンドあたりから、カストロが少し前に出て、ネリを追いつめます。中盤はネリも反撃し、パンチの応酬が見られますが、決定打はありません。ネリは余裕を持って、カストロの攻撃をかわしていますが、打ち終わりにパンチを返す程度で、手数が少ないですね。5ラウンド終盤、お互いのパンチが交錯しますが、ここでも決定打はありませんね。でも打ち合ったら、ネリの方がパワーがありそうです。
手数ではカストロが上回っていますが、ネリのフットワークとボディワークで、なかなかクリーンヒットを奪えません。ネリも、時折応戦し、左右のフックを叩き込みますが、あまり有効打はありません。攻撃がいつもに比べて雑ですね。
後半になっても終始前に出るのはカストロ
中盤からは、前に出て、先に手を出すのはカストロです。ネリはこれをボディワークでかわしながら、打ち終わりを狙っています。2ラウンド以降は、お互い有効打がなく、微妙なラウンドが続いていますね。7ラウンド終盤、ネリのワンツーがヒット。それにしても今日のネリは消極的ですね。
終盤もカストロが前に出て、ネリは下がりながら、余裕を持ってこれをかわします。カストロの攻撃もワンパターンで、ネリは戦い易いでしょうが、相変わらずネリの手数は少ないですね。8ラウンド終盤ようやく、ネリがカストロをロープに詰めて、左右のフックを打ち込みますが、深追いはしません。ポイントを取りに行った感じです。
ネリは下がりながら、カウンターを狙っています。カストロの攻撃は単調ですね。ネリはかなり余裕を持って応戦しています。
微妙な採点
初回のダウンを除けば、その後は微妙なラウンド続き、どちらが勝っても不思議ではない展開でしたね。やはり採点は分かれましたね。2-1です。(95-94,94-95,96-93)と僅差でネリが再起戦を勝利で飾るとともに、挑戦権を獲得しました。一方のカストロは、これが初黒星となります。初回のダウンで、ネリは安全運転に徹し、勝ちにこだわったのでしょうか。
余談、ウクライナの話
この日の試合とは全く関係ありませんが、ウクライナのワシル・ロマチェンコとオレクサンダー・ウシクがウクライナ軍に参加しました。戦争では、ボクシングのスキルは通用しないでしょうから、無理せず、無事にボクシングに復帰してほしいですね。和平交渉も難航しています。ロシア包囲網は着々と進んでいますが、プーチンは全く堪えていないような気がします。何とか適当な落としどころを見つけて、一日も早く終戦してほしいと思います。