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アンドレ・ディレル(アメリカ)VSホセ・ウスカテギ(ベネズエラ)
IBF世界S・ミドル級暫定王者決定戦(2017年5月20日)
(出典:WOWOW)
ディレルは27戦25勝16KO2敗、33歳。IBF3位で、これが3度目の世界挑戦です。
ウスカテギは27戦26勝22KO1敗、26歳。IBF1位。
正規王者のジェームス・デケールが肩の手術でしばらく防衛戦ができないため、暫定王者決定戦が行われることになったようです。
序盤はウスカテギがペースを奪う
ディレルが2度、世界に挑戦して王座を獲得できなかったのは、恐らく決め手に欠くからでしょうね。
アンドレ・ウォードとロイ・ジョーンズを足して2で割り、5ぐらい引いた感じの選手です。
ファイトスタイルは似ていますが、二人ほどディフェンスがいいわけでもなく、パンチ力も今一つです。
先手は、積極的に前に出てプレッシャーをかけたウスカテギがとりました。
ただ、1ラウンドの終了のゴングに、ウスカテギのパンチがヒットし、レフリーからかなり厳しい注意が与えられました。
これが反則負けの予兆でしたね。
2ラウンドにはウスカテギの肩口からの右フックがテンプルにヒットし、ディレルの足がばたつくシーンもありました。
(パンチ力はウスカテギが上)
ディレルは本来サウスポーですが、時折右にスイッチします。
ところがオーソドックススタイルのウスカテギも、ディレルに合わせて左にスイッチします。
ディレルは、右ジャブから左のカウンターを狙うだけのワンパターンしかなく、ウスカテギはこのジャブを打たせないために、頻繁にスイッチします。
これほどお互いがスイッチする試合も珍しいですね。
中盤辺りからようやくディレルが挽回
5ラウンドあたりから、ようやくウスカテギのスイッチに慣れてきたディレルの手数が増え、右ジャブから左のカウンターもヒットするようになってきます。
しかし、パワーはウスカテギの方が上です。
少し強めに出てきた7ラウンドは、ウスカテギのパワーにディレルがまた押され気味になってきました。
ウスカテギのワンツースリーがゴングの後?
問題の8ラウンドは、お互いのパンチが交錯しますが、クリーンヒットがなく、少し退屈な展開になってきました。
ウスカテギもディレルの左カウンターのタイミングが合いだしてきたので、うかつに前に出られず、攻めあぐねている感じです。
「8R反則勝ち」は知っていましたが、全くそんな雰囲気もなく、8ラウンドが終了しようとした、その時です。
終了間際にウスカテギがディレルをコーナーに詰め、連打しました。
ワンツースリ―の3連打です。見事なパンチでした。
しかし、この「ワン」をヒットしたのとゴングが鳴ったのが同時でした。
(見事な3連打でした。ディレルは完全に失神しダウン)
(この一発目とゴングが鳴ったのが同時でした)
従いまして、2発目と3発目はゴング後のパンチとなります。
いわゆるイリーガルパンチです。
何とかダメージから回復したディレルは、歩み寄って謝るウスカテギを受け入れまいした。
しかし、治まらないのはディレルのコーナー。
なんと、ウスカテギのコーナーに抗議をし、あろうことか無防備のウスカテギに豪快な左フックをみまいました。
この後はもうリング上も、リングサイドも大混乱。
まるでプロレスの場外乱闘状態でした。
この、ディレルのトレーナーは厳重に処分すべきですね。素手で無防備の選手を殴るなんて、これは完全に犯罪行為です。
(いきなり無防備のウスカテギにディレルのトレーナーが左フックをたたきつけました。これで、リング上は大混乱)
さて、この反則パンチに対するレフリーの裁定は、「ウスカテギのパンチはゴングが鳴った後のパンチ」「したがって、ウスカテギを失格とし、ディレルの反則勝ち」となりました。
浜田さんが「ワンツースリ―は流れの中のパンチですからね」と言うように、ゴングか鳴ったからといって、そう簡単に止められるものではないかもしれません。
とにかく、再戦必至でしょうが、両陣営がもめそうですね。
なかなか面白いものを見せてもらいました。